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2012-10-16

久しぶりのSS

どうも、ナリです。

今回の更新はSSです。
短編更新中に懲りずにSS書いちゃいます。

SSにしては少し長いですが、楽しんで頂けましたら幸いです。

では、どうぞ!


「ああぁ…はいぃ…忠誠を誓いますぅ…」
また一人、部下がいった…。何という様だ。帝国の精鋭部隊たる我らが、たった一人の女にこうも骨抜きにされてしまうとは!しかしこの女、人ではあるまい。間違いなく魔の者。
「あら、随分と粘りますね。それでこそ堕としがいがあるというものですが」
「あはぁ、隊長もぉ、早くマスターに忠誠を誓いましょうよぉ」
堕落し、妖艶なる化粧を施された部下達。その顔は情けないほどに緩みきっている。
「目を覚ませ!我らは帝国に仕える騎士なのだぞ!」
「ふふふ、無駄ですよ。皆さんはすでに私の下僕なんですから。そうですよね、皆さん?」
「「はいぃ、我らの命はマスターの物ぉ。我らはマスターにぃ永久の隷属を誓いますぅ」」
「ほぉら、ね?」
「くっ!」

首都から遠く離れた村。この地に魔物が出現したと言う報を受け、私たちは件の村へと辿り着いた。だが時すでに遅く、家々は灰塵に化し、人々は冷めた骸でしかなかった。私たちは必死に生存者を捜索した。すると、村の祠に一人の女性が隠れていた。彼女は魔物の攻撃から身を護るために、ずっと祠に隠れていたのだという。そして、彼女の手を引いて村が出た途端…。気付けば私たちはこの異空間へと捕らわれていた。けばけばしい桃色の空間。悍ましい肉塊が私の体を拘束し、強烈な香り漂うこの地は一体何処なのか。
「ほんと、驚嘆しますわ。この空間に捕らわれ、洗礼を受けて尚も正気を保っていらっしゃる。流石は騎士隊隊長の位を授かりし者、ですわね」
「貴様に褒められても嬉しくないぞ、魔物め!」
「勇ましい事。仕方ありませんわね。私が直々に墮して差し上げましょう」
女の体に黒い瘴気が渦巻き、見る間に衣装を形成していく。黒光りするそれは女の体のラインをはっきりと浮かび上がらせる。肌は青く、髪は紫がかり、頭に角を、尻に尻尾を生やした魔物。これは、間違いない。
「貴様、サキュバス種か!」
「大正解」
女は白い歯を見せ、ニィと笑う。鋭く伸びた犬歯は獰猛な獣如く、黄色い瞳は獲物を狙う狩人のそれだ。
「私の名はアスモス。第46魔界一等侯爵の位を戴いております。お見知りおきを」
「一等、侯爵……」
何故そんな上位の魔物が、あんな田舎の村に現れた?奴らは魔界から外に出ることは滅多と無い筈だ。
「ああ、何故私があの村に現れたのか疑問に思っておられるのですね?答えは簡単。貴女を誘き出す為ですよ」
「私を、だと」
「ええ。貴女の御高名は予々伺っております。齢18にして騎士隊隊長を勤める凄腕の騎士。貴女に葬られた魔物の数は百では足りますまい」
「……」
「ふふ、私、そんな貴女に会いたくてたまりませんでした。故に…」
「故に村を襲ったのか!私を誘き出す為に!」
「ええ、そうです。最も、賭けではありましたけどね。貴女の隊意外が来る可能性もありましたから。まあ、その場合は隊を殲滅させれば良いのですが」
クスクスと無邪気に笑う魔物。こいつは私に会う為。たった其だけの為に幾人もの村人を……!
「ならば貴様の目的は達成した筈だ!部下を元に戻し、さっさと私を解放しろ!」
「嫌、ですわ」
「何故」
「私、最初は貴女に会いたいだけでした。ですが、お会いしてみたら、噂以上に素敵なお方でしたわ。いつ魔物による攻撃がなされるか分からない危険を省みず、見ず知らずの私を救出して下さったこと。人並みな言い方ですが私、貴女に一目惚れしてしまいましたの。ですから」

「私の伴侶になって頂きますわ」

「は、伴侶だと!」
こいつは何を言っている。
私は人間で奴は魔物。相容れる訳がない。第一
「私は女だぞ。女が女の伴侶になるなど……」
「それは人の世の法の話でしょう?魔界の法は違います。『汝、汝の思うがままであれ!』ふふふ、最高の法ですよね?」
「ふざけるな!ならば何故、私の部下を隷属させる必要がある!?」
「二人の生活には何かと召し使いが必要でしょう?見知らぬ者では貴女が不安がるでしょうし、嘗ての部下ならば遠慮無く使えるでしょう?」
「貴様…!」
「さあ、楽しいお喋りはおしまいにしましょう。さあ、これからゆっくりと、堕ちて行って下さいね?」

女の手が私の頬を撫でる。つるり、とした感触が心地好く感じる。
顎を掴まれ、上を向かせられる。紅い唇が近付いてくる。

やめろ!

言葉を紡ぐより早く、奴の唇が私の唇を捉えた。最初は触れる程度。やがてそれが押し付けられ、舌が私の口内へと入り込む。口は塞がれ、侵入を拒めない。舌は蛇の如く蠢き、私の舌を絡めとる。卑猥な水音が口内を駆け抜け、羞恥と……認めたくないが少し劣情に体が熱く感じる。

顎を掴んでいた手が今では背に回される。私を拘束していた肉塊はこそげおち、足元に溜まっている。

おかしい。そんな筈は無いのに。拒絶しなくてはいけない筈なのに。ああ、何故、奴に触られると、こんなに気持ち良く感じるのだろう?

私は身震いした。私は、奴を、求めている?

頭を掠めた疑問は臀部に感じた違和感に掻き消された。

「ひっ!」
知らぬ間に、私の装束は取り払われていた。そして、さらけ出された臀部に、つるりとした何かが触れている。
「ここが、気持ちよいのですか?」
舌を引き抜き、奴は手で私の臀部を撫で回す。くすぐったい感触に身を捩る。
「く、やぁ…っ!」
マズイ、思考が霞んでいく。
「さあ、私に身を委ねて下さい」
い…や…だ……


***

目をあける。桃色の空間はまだそこにある。アスモスは私の体を撫で回している。撫でられた箇所が、彼女の手と同じ様に黒く染まる。
気持ちいい。
染まった箇所を触ると、つるりとした感触がした。
彼女の服と同じだ。嬉しい。そう感じた。彼女と同じになっていく。それは、とても嬉しいことなのだ。
私は笑みを浮かべた。嬉しい。嬉しい。早くなりたい。彼女と同じ存在に。彼女と同じ種族に。彼女の伴侶に。


ふと前を見ると、嘗ての部下達が立っていた。今は彼女の下僕だが。下僕達は命じられたまま、そこに立っていた。だが、その顔は私を羨ましそうに見ている。だらしなく舌を出して、股を擦っている姿は憐れで、私はふと自分の足を見た。肉塊の残骸が付いている。下僕を指差す。嘗ては副隊長として、共に戦ったその下僕は私の前に進み出、跪いた。
「舐めろ」
短く言い放つと、下僕は躊躇いなく私の足にむしゃぶりついた。くすぐったい感触と、嗜虐心から自然と笑みがこぼれる。
「ふふ、楽しそう、ですね」
頬を撫でながらアスモスが呟く。
「ああ」
頷き、彼女の唇を奪う。互いに舌を絡め合い、私達は視線を交わした。


私の体は彼女と同じ服に覆われていた。色は彼女と違って紫色だ。だが、憎らしいことに肌はまだ人の肌と同じ色をしている。
「お似合いですわ」
「ありがとう、アスモス。しかし」
「ふふ、肌の色が気になりますか?」
「ああ。私も早く君と同じになりたいのに……」
「簡単なことですよ。貴女の手で肌を撫でれば良いのです。でも、そうしてしまうと、二度と人間には戻れませんよ?」
笑みを浮かべながら彼女は聞いてくる。全く、可愛い女だ。
「人間に戻る必要なんてない。私はお前の伴侶だからな」
まずは足から。
「はぁん…」
ひんやりとした感覚が、手で触れた場所に広がる。同時にその箇所は青く染まる。彼女と同じ色に。
「もっと、もっと……」
秘部に指を突っ込み、撫で回す。膣内まで青く染めて、私の手は身体中を撫で回した。

やがて、私の体から忌々しい人間の色は消えた。後は。
「ふっ!」
頭と臀部に魔力を通わす。こめかみに角袋が浮き上がり、それは次第に硬くなって角となった。臀部からは先端が槍の如く尖った尻尾が生える。
「さあ、これが今の貴女ですよ」
彼女が鏡を見せてくれた。
「凄いな…これが私か」
全身を覆う紫色の服は肩から胸元にかけてのみが開かれ、鎖骨と谷間が顔を覗かせる。
瞳は黄色く、元は白目だった部分は黒く染まっていた。
紅いルージュに彩られた唇を長い舌で舐める。
「ふふ、嬉しそうですね」
「愛しい人から貰った物は、何だって嬉しいのさ」
「まあ、お上手ですこと」


***

「ディエス様、この村の女は全て我らと同じ、お二方の下僕となりました」
「そうか。よくやった。下がっていい」
下僕長が下がり、入れ替わる様にアスモスが入ってきた。その傍らには少女が付き添っていた。
「アスモス、その少女は?」
「この村の生き残りです。術をかけて連れてきましたの。ねえ、ディエス。私達の子供として育てませんか?」
「私達の子供、か。それは良いな。クク、夢が膨らむな」
「ふふ、本当に」
私達は声を揃えて笑った。未来の我が娘は虚ろな目のまま、私達は見つめていた。


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まとめ【久しぶりのSS】

どうも、ナリです。今回の更新はSSです。短編更新中に懲りずにSS書いちゃいます。SSにしては少し長

騎士隊隊長の女性が魔の物に落とされる

村に現れた魔物討伐にやってきた帝国騎士。 仲間は既に落とされ、魔の手が彼女にも迫る! →久しぶりのSS(今夜はナリのりACT3) サキュバス種の魔物は彼女を伴侶にすると言い、唇を重ねる。 拒絶しなければいけない魔物の接吻に、求め始める彼女。

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もう、素敵過ぎる
プロフィール

鬼夜蛇神ナリ

Author:鬼夜蛇神ナリ
キヤタガミと読みます。悪堕ちと百合を愛する地球内腐的生命体です。

一応18禁ちっく(?)な作品がちらほらあるので、覚悟の上でお読みください。

基本的にリンクフリーですが、ご一報くださると幸いです。

仁王立ちだZE★霧雨魔理沙

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